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「朝焼けの町を目指して」(第5章)(最終章)

いつ以来かは覚えていないが、今日みたいに、自由を感じながらも、虚しさも感じる。空は段々と明るくなって、朝焼けは空を瑠璃と白とオレンジのオンブレに染める。俺は朝焼けが射して来た方向に向かって歩き出した、あれは、家の方向だ。そして今日俺は、一人ぼっちにして、この朝焼けの町で、深く、深く、眠りに落ちていった。

「朝焼けの町を目指して」)(目録/はじめに)

これは、孤独という名の物語である。
街の東のスカイラインは、夜明け前の空は瑠璃と白とオレンジのオンブレに染められ、やがて日が昇り、万物が目覚めて美しい光景。だがしかし、晩秋の冷たい風の中で立つお前に波一つももたらさなかった。異邦人のお前は、既に空になった檸檬堂のボトルを掴みながら、ぼんやりした視野から、過去へと続く道を見出した気がする。